名古屋高等裁判所金沢支部 昭和25年(う)447号 判決 1950年11月29日
被告人
北野清
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人新崎武の控訴趣意第一について。
公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対し其の執行を妨害する犯意をもつて暴行脅迫を為すことによつて直ちに成立し、暴行脅迫の結果現実に公務執行が不能となつたか否かによつて犯罪の成否が左右されるものではない。従つて大野与一巡査が被告人を道路交通取締法違反の現行犯として逮捕することの出来なかつたのは直接被告人の行為によるものではなく被告人に声援した群集の勢威によるものであつたにしても、被告人に右暴行脅迫の行為があつたとすれば公務執行妨害罪の刑責を免れることが出来ない。論旨は理由がない。